27日のミズノ・オープン最終日。上位4人に与えられる7月の全英オープン(カーヌスティ・リンクス)の切符をつかんだ2人の表情がこわばっていた。

 単独首位で迎えた最終18番、まさかのダブルボギーでプレーオフにも進めなかった小林正則(42=フリー)は「悔しいね。今までゴルフをやってきて、数えるくらい悔しい。正直、今は負けた悔しさしかないかな」。同じく1打差2位の川村昌弘(24=antenna)からも「いやもう『悔しい』しかないです。(全英切符は)何の慰めにもならないですね」と勝負師の本音が漏れた。

 同組で回った2人は激しい優勝争いを演じた。9番でバンカーからチップインバーディー、17番でも段を下る約20メートルの超ロングパットを沈めた川村が「小林さんがいたから、伸ばし合えた。お互い、たいがい“渋い”パターを入れて、パターの入れ合いみたいになって。いい試合展開でした」と言えば、17番までに3つ伸ばしていた小林も「(川村)昌弘が17番でバーディーを取ってくれたから『昌弘と勝負』という気持ちがすごく強くなった」と振り返る。

 ツアー史上最長8000ヤードを超えるモンスターコースで火花を散らした2人。ともに5年ぶりの優勝が懸かっていた。

 13年日本オープンで通算3勝目を挙げた小林は、14年以降の賞金ランクで107位、83位、96位、105位と低空飛行が続いた。今季はその日本オープン優勝による5年シードが切れるシーズンでもある。

 16年の三井住友VISA太平洋マスターズで苦悩の深さを知った。日本オープン優勝、米ツアーのCIMBクラシック2位、HSBCチャンピオンズ優勝と直近の試合で驚異的な成績を残し、「三井住友-」も完全Vで制することになる松山英樹がドライビングレンジで練習していた時のこと。調整を見守る関係者や報道陣の邪魔にならないよう大きな体を縮め、松山のスイング動画をスマートフォンに収めていた。なりふり構わず、復活のヒントを求めていた。

 川村は13年パナソニック・オープンで初V。20歳96日での優勝は、73年のツアー制度施行後では石川遼、松山に次ぐ3番目の年少記録だった。世界中を巡る「旅人ゴルファー」として活躍の場を広げる一方、勝ち星からは遠ざかった。

 ミズノ・オープン開幕の3日前に行われた全米オープンの国内予選。上位3人に本戦の出場権が与えられる36ホールのストロークプレーで、川村は第1ラウンドを終えて25位だった。突破は絶望的だったにもかかわらず、棄権することなく回りきった。「何かつかめるものがあると思って。結果は、ぶっちぎりの“ドベ”。ブービーとの差が開いただけでした」と笑うが、ラスト3ホールでスイングのポイントについて気付く部分があったという。ミズノ・オープン最終日はスコア提出を終えるとパッティンググリーンに直行。「嫌な感覚を残したくなかった。それだけです」。16番で外した1メートルのパーパットと同じラインを繰り返し転がした。

 秋吉翔太のツアー初優勝に沸く裏で、歓喜の味を知る2人が見せた勝利への執念-。プロゴルファーの矜持(きょうじ)を垣間見た。【亀山泰宏】

18番をダブルボギーで終え首位から陥落し、厳しい表情の小林(撮影・林敏行)
18番をダブルボギーで終え首位から陥落し、厳しい表情の小林(撮影・林敏行)
18番をボギーでホールアウトし、ギャラリーにこたえる川村。右は小林(撮影・林敏行)
18番をボギーでホールアウトし、ギャラリーにこたえる川村。右は小林(撮影・林敏行)