ロンドン五輪銀メダリスト三宅宏実(30=いちご)が銅メダルを獲得し、重量挙げ日本女子初となる2大会連続の表彰台に立った。スナッチ81キロ、ジャーク107キロのトータル188キロを記録し、バーベルに感謝の頬ずり。海外留学や結婚準備の考えもある一方、5大会連続となる20年東京五輪を目指す意向も示した。

 相棒を抱きしめずにはいられなかった。メダルがかかるジャーク最後の試技。三宅は伸ばした腕をふるわせながら「やったー」と声を漏らした。父が待つ舞台裏に下がりかけ、思い出したように再び台の上に戻る。そして、バーベルを抱え、いとおしそうになでた。「16年ずっと一緒だったパートナー。ありがとうと言いたかった」。全身で感謝の思いを表現した。

 奇跡だった。リオ入り後、持病の腰痛が悪化。これまで避けてきた痛み止めを打って本番を迎えた。スナッチは自己ベストより6キロ少ない81キロから無難にスタートしたが、2連続失敗。「私の夏は終わったと思った」。追い詰められた3回目。尻もちをつきそうになりながらも成功。自分でも「不思議」と振り返る試技で踏みとどまった。ジャークでは最初の105キロを難なく成功したが、2回目の107キロは失敗と判定される。間髪入れずに訪れた3回目。「失敗したら日本に帰れないと思って」と一瞬にすべてを懸け、逆転で表彰台にすべり込んだ。

 4年後のことは未定。競技後は「4年間は長い。日本に帰って、ゆっくり考える」とだけ話したが、一夜明けた7日には「東京五輪は魅力的。出たい気持ちはある」とも言った。リオ後にやりたいことがある。1つは海外留学。16年間、重量挙げ一筋で生きてきた分「海外で視野を広げたい」と周囲に明かしていた。もう1つは結婚の準備。太くなった指が14号もあると、嘆いたことがある。相手はまだいない。昨秋、友人の結婚式に出席すると、たまらず都内の結婚式場を下見にまわった。それほど結婚への憧れは強い。幸せを願うのは父も一緒だ。「もうこれが最後。宏実も体力的に限界が来ている」と引退をほのめかした。

 銀から銅へと、順位は下がっても「前回とは年齢が違うので、重みが全然違う。一番うれしい」と今までにない充実感に包まれた。有終で幕を引くのか、また大好きな重量挙げをやりたくなるのか。痛みと重圧と闘った147センチの体を休めながら、考える。

 ◆三宅宏実(みやけ・ひろみ)1985年(昭60)11月18日、埼玉・新座市生まれ。新座二中3年で競技を始める。埼玉栄高3年時の03年に53キロ級で全日本選手権制覇。06年世界選手権銅メダル。プロ野球でバース(阪神)落合博満(ロッテ)が3冠王に輝いた年に生まれたため、うかんむりが3つ並ぶ「三宅宏実」と名付けられた。147センチ。

 ◆日本女子の五輪での連続メダル 今大会の三宅が12人目。最多は柔道女子48キロ級の谷亮子で、92年バルセロナ五輪から金と銀が2つ、銅1つの5大会連続。シンクロ女子の武田美保と立花美哉は96年アトランタ五輪から3大会連続ながら、獲得数は5つで谷と並ぶ。現在はレスリング女子53キロ級の吉田沙保里と同63キロ級の伊調馨が04年アテネ五輪から金メダル獲得を続けており、今大会で4連続を目指す。