★米朝首脳会談は1度で物事がすべて進むほど、朝鮮半島政治の複雑さと朝鮮戦争の傷痕は容易に“解決”するほど簡単ではないことを世界に思い知らせた。米国の情報によれば北朝鮮は12~60個の核兵器や、300~400カ所の核関連施設を持つといわれる。その現実の前に今回のあいまいな合意には政治的セレモニーの色彩が強いだけでなく、米朝会談の実施ありきで今後も交渉は続くことを示唆した。

 ★非核化実現の工程は合意声明にも盛り込まれず、ただただ米トランプ大統領は非核化の費用を日韓両政府に負担させる考えを強調した。早速国内では議論沸騰だ。非核化の費用はその方法によっては天文学的金額になり期間も作業開始から7、8年はかかるだろう。首相・安倍晋三は積極的平和主義をうたうが極東の平和を得るための負担は我が国の防衛費と同等の意味合いを持つはずだが、トランプに言われるとなんでも言うことを聞くのでこの法外な命令をどうさばくか注目だ。

 ★北朝鮮が暴走し核の脅威がもたらす安全保障のための国防費増額について、国民は容認してきたし政府も国難とあおってきた。では核廃棄のための予算が組まれると国防費は減額されるのか。そのデリケートな部分を、共同声明は非核化の範囲を北朝鮮とせず「朝鮮半島」としたことからもわかるように、北朝鮮が一方的に非核化しなくてもいいようにも読み取れるようにしてあいまいにさせた。在韓米軍の核撤廃と北朝鮮の核廃棄をパッケージで捉えれば、朝鮮半島に核廃絶はないかもしれない。つまり緩やかな現状維持。平和の議論の1歩ではあるが前進というにはあまりにもあいまいな入り口だ。(K)※敬称略